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間主観性・客観性

 昨日は日本語の論文を書き始めたので、今日は英文の論文を書き始めてみました。昨年発表したものをベースに、それにさらにいくつかの議論を加えて3倍くらいの長さにしていく必要があります。これは何日前に書いた依頼原稿ではなく、投稿原稿です。
 べース部分があるので、書き出しは意外とスムーズに書き出せました。書きながら考えたことは当たり前のことなのですが、間主観性は即(第三者的という意味ではなく、普遍的な立場と言う意味での)客観性を意味はしないということです。歴史認識の例をとれば、たとえばそれぞれ異なった主観をもつ日本と中国の間に共通の歴史認識が成立しても、それはアジアにおける共同化された別の主観的な歴史が形成されるだけであって、全世界的に普遍的に受け入れられる客観的な歴史認識が成立するわけではありません。一般的に言えば、AとBという主観の間に間主観的な同一の認識が成立しても、それはCの主観とも、CとDの間に成り立つ間主観性とも異なるということです。つまり間主観性も結局はもう一つの主観性であって、主観性をすべて包摂したような間主観性が成立しない限りは、問題は個々の主観性がどのような場において成立し、それがそのようなかたちで間主観性の根拠となっているのかということになります。
 このことは歴史学にある主観性の問題を考えるにあたっては重要なことのような気がします。様々な日本の歴史研究者の間に間主観的な合意が成立しても、批判的に考えればそれは客観的なものではありませんし、また学問的な場での間主観的な合意が成立してもそれだけでは必ずしも客観性が保証されるものではないということです。単純な議論なのですが、しかしこのことは、科学的な歴史というような問題を考えていくさいには、意外と重要な基本的前提になるような気がします。
by pastandhistories | 2011-02-23 20:48 | Trackback | Comments(0)
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