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歴史についてこれまで考えてきたことを書いています


by pastandhistories

レーニン?

 3月のプロジェクトで話してもらう予定だったハーヴァードのスヴェン・ベッカートからメールが来て、秋(9月か、10月)に日本に行こうと思うけど、考えはどうかと伝えてきました。他大学の人たちとも相談してからと返事をしておきました。もちろん完全に確定した話ではありませんが、せっかくの話ですので前向きにすすめていこうと考えています。こうした話は閉鎖的なものとはしないといのうが自分の考えですので、もしその時期にグローバルヒストリーについての研究会などの計画があるようでしたらtsyokmt@hotmail.comに連絡してください。可能であれば、彼と打ち合わせながら日程を作っていこうと思います。
 この連休は本当にリフレッシュできました。仕事も少ししましたが、久しぶりに大工仕事をしたのがよかったようです。昨日もトイレの工事をしました。ウォッシュレットの漏水の補修です。原発への対応よりかなり簡単でした。休みに入って植えた枝豆も今日芽が出始めたようです。種の袋で気づきましたが、こんなものも中国産でした。早成もので70日くらいで食べられそうです。希望があるようでしたらこれもその頃にtsyokmt@hotmail.comに連絡してください。可能であれば、お送りします。
 授業はあすから西洋史概説(近現代)がロシア史になります。概説の担当は3年に一回で、前回と同じにロシア革命を中心としたロシア史からはじめます。この順序が妥当かはもちろん議論のあるところでしょう。社会主義国家の形成・冷戦を軸に現代史を捉えるという(政治史的な)視点に対しては、現在では批判があるからです。しかし自分のおおきな問題意識は、権威主義的な国家体制への、あるいは思想や運動への批判ですから、いろいろ考えたのですが、時間的な都合もあって今回もこうした枠組みになりました。
 もっともここから授業を始めると、学生にはかなりわかりにくいようです。現在ではレーニンを知らない学生も少なくないからです。しかし学生時代から自分はマルクスよりレーニンのほうに関心がありました。もちろんマルクスも、レーニンも過剰に権威化する必要はありません。マルクスおじさんの考えていたこと、レーニンおっさんの考えていたことという程度に理解していけばいいだけです。今は少なくなりましたが、マルクス主義経済学者が(あるいは歴史学者も)大学にゴロゴロいて、レーニンの政治学が大学のなかでは「学問化」されていないとということは、本当は奇妙なことです。マルクスが学問的な精緻さがあって?、レーニンにはない?、ということがその理由だったのでしょうか。
 ではなくてマルクスが権威化されたのは、ロシア革命の結果であったということでしょう。ロシア革命という(それ以前的にはドイツ社会民主党の発展)というリアルポリティックスがマルクス・エンゲルスの思想を、ある時期から、そして第一次大戦後に、さらには戦後の日本においては学問的にも権威化したのであって、純粋な学問的論理性のみによって影響が確立されたわけではありません。その意味ではリアルポリティックスを左右したレーニンの政治的リアリズム、さらには革命の実現という現実を媒体として、それまで影響力をもっていた社会民主主義的な思想・運動をナシナリティやモダニティとの結合という問題を媒体として激しく批判し、資本主義に対する対抗的な思想・運動の一つの枠組みを作り出したレーニンのほうに自分は関心があったということです。
 こうしたことを書くと多分二つの批判を受けると思います。一つは純粋な学問論理性の存在を認めていないのではという批判です。もう一つはレーニン主義的なアイディアを擁護しているのかということです。
 前者の疑問に対してはまた書いていきますが、後者についてはそうではないと今日は答えておきます。自分のなかに一貫してあるのは、前衛主義的な考え方への批判です。そうした批判が、レーニン主義的な政治的リアリズムに対してより優位にある政治的リアリズムを確立できるかということです。古いアイディアですね。こんなことはレーニンも知らない学生にとっては迷惑な課題かもしれませんが、明日からの授業はそこから始まることになります。
by pastandhistories | 2011-05-08 11:22 | Trackback | Comments(0)

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