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 今回オスロに来たのは、International Society for Cultural History(ISCH)の大会に参加するためです。ピーター・バークの呼びかけによって結成されたもので、2008年からベルギー(GHENT)、オーストラリア(BRISBANE)、フィンランド(TURK)で会を開いていて今回が4回目、現在雑誌の刊行が予定されていて、もうすぐ刊行されるはずです。とくに今回のテーマは History-memory-myth: Re-presenting the past という興味深いものに設定されていましたし、また自分が今年から始めたプロジェクト(「トランスナショナルカルチュラルヒストリーの今後」)にも近く、幸いにして日程も夏休みということで参加しました。どうせ参加するならペーパーもと思いアブストラクト(250語)を送ったのですがそれは採用されず、参加に少し迷いもでましたが、プロジェクトで日本に呼べるような人がいれば直接交渉できるという利点もあるので、参加してみました。
 会は基本的には知名度の高い基調報告者(トニー・ベネット、フランソワ・アルツォークら5人)、とかなり思い切って中堅若手を報告者としているセッションから構成されています。詳しい内容はおいおい紹介していきますが、テーマとなっていることは(周縁ではなく)緩衝しあう場(というよりすべてが本来はそうした場であるわけで、周縁というのはある種の中心を前提していて、その意味では批判の対象となるということです)にある歴史とか、記憶の集団化、というよりそもそも記憶を歴史にすること自体への疑問、(社会史の一セクションとして学問的歴史の場に地位を得た)ミクロヒストリーの問題性、さらには歴史の表象(展示)といったようなことです。それが古典的なpresentismを超えたところで議論されています。
 開催地からもわかるところがありますが、参加者も北欧や東欧が中心、この手の会議としては皮肉を込めていえばG8からの参加者は意外と少なくて、そのことが議論の内容をさらに興味深いものにしているという部分があります(これも皮肉を込めて言えば、G8の歴史研究や理論のみを取り上げて自らをアイデンティフィケーションしてきた日本の西洋史学は、そのことだけでも問題意識を大きく欠如したものであったということです)。
 日本からも自分も含めて3人、昨日はその一人の人と食事をしました。気がついている人もあると思いますが、このブログでは海外の報告に関しては、よほど親しい人以外は日本人については実名を書いていません。プライバシーの問題もありますし、それぞれの人がそれなりかたちで日本の読み手に対しては自分で書くと考えているからです。こう書くと昨日食事をした人は「親しくない」ということになってしまうのですが、そういうわけではもちろんありません。ただ二人の感想は、とくに昨日の発表は(結局同じ会場を選ぶことになりました)充分面白かったというものです。
 結構多岐にわたることが議論されているので、具体的なことは時間をみて丁寧に書いていくつもりです。
by pastandhistories | 2011-08-05 13:51 | Trackback(1) | Comments(0)
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Tracked from 右近の日々是好日。 at 2011-08-06 17:51
タイトル : 「変化する可能性」
 人間は、常に同じであることで安心感や安定感を得ます。一方で、人間は常に変化をすることによって希望や不安を得ます。人間は、同じであることと変化することの間で常に喜んだり苦しんだりしています。支援を必要とする人間は、同じであることと変化することの間で、自...... more

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