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戦後史学と社会運動史

 谷川稔さんと喜安朗さんを招いたセミナーは無事終わりました。随分多くの、あえて言うなら質的に高いメンバーが集まり、時間の問題はありましたが目的はある程度果たせました。自分も参加していた「社会運動史研究会」を戦後史学のなかに史学史的に位置づけるという議論が主になりました。報告や会場からの発言はそれぞれポイントをついたもので、そうしたことに関心のある人には随分と参考になるものであったと思います。
 ここで個々の報告やコメントを紹介するのは、司会者という立場ですので難しいところがあります。あえて一つだけ紹介すると「社会史」と「社会運動史」では研究の流れとしては「社会運動史」から「社会史」という流れになるけれど、「社会史」を中心的な推進した二宮宏之・阿部謹也さんなどはむしろ世代的には上の世代となる、それはどういう理由だからなのか、という小田中直樹さんの提起はきわめて巧みなものでした。
 報告やコメントの多くはそれぞれ批判的・批評的なものを含んでいて、それ自体としては個々それぞれの立場から問題点を的確に指摘したものでしたが、全体としてはややオマージュ的なものが目立つところがあって、対立的な視点からの議論はあまり提示されませんでした。そうした立場からの発言者への時間的余裕がもう少しあったならと思います。
 自分的には議論の内容、参加者数という点では成功という評価なのですが、参加された人がどのように判断されたか、それはわかりません。
by pastandhistories | 2011-12-11 17:36 | Trackback | Comments(1)
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Commented by 伊豆川 at 2011-12-11 18:55 x
私も今回のセミナーに参加しました。谷川先生の報告は、社会運動史自体を一つの社会運動と捉えて、運動としての社会運動史がどのように展開したか改めて再認識するものだったと思います。一方、喜安先生のコメントは、社会運動史の中心を担った人間として、社会運動史の情熱と方法を語るものだったと思います。戦後の歴史学の主流派とは違う独自の歴史学を生み出そうとした社会運動史からは大いに学ぶことがあります。ただ、社会運動史が、戦後歴史学の主流派と対抗する軸を生み出すことができたのだろうかとやや疑問を持ちました。社会運動史が多様な研究を認める寛容性を持っていたようですが、社会運動史が多様な研究を認める寛容性を持っていた混沌としたものだった結果として、「社会運動史は、どのような研究をするものなのか」という社会運動史の主体性が不明確になった部分があると、今回のセミナーに参加して私は考えました。

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