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「ヨーロッパ中心主義」再論

 昨日書いた(というよりあまり書かなかった)ヨーロッパ中心主義(批判)について議論を進めると、同僚であったイスラーム史の後藤明さんは、学生に「君たちの習っている歴史は世界の人口の10億人の歴史で、残りの70億人が無視されたいい加減な歴史だ」とよく言っていました。学生はきょとんとしてしまうのですが、昨日触れたことと関連させると、大事なのはこの10億人の歴史と、70億人の歴史という問題の立て方です。この数字の差は昨日触れたジェンダー間の数字の差(というよりこれば40億人と40億人のほぼ同数ですが)よりはるかに大きなものです。
 という批判には、最近の教科書は両者のバランスがとれるように配慮しているという反論が聞こえそうです。確かに、教科書には最近は「よく知られていないアフリカやアジアの王国や王朝」の名前が、随分と登場しています。入試にも最近は結構出題されても(多分出題者もよくは知らないことだけど、教科書には掲載されているからでしょう)いるようです。
 しかし、このことは昨日書いたジェンダーの問題とよく似た部分があります。つまり従来のメインナラティヴの構造をそのままのものとして、登場する王国や王朝の数のバランスをとっても、それはなぜ従来の歴史が国名などを中心としていたのかという、その根本への疑問を欠いているからです。それを無理に覚えなければいけない高校生にとってははなはだはた迷惑なものです。
 昨日も書きましたが、従来の歴史、ここではヨーロッパ中心主義となりますが、そうしたものと同じ構造のカウンターナラティヴをいくら作っても、そしてそうした作業にもとづく「共同教科書」を作っても、それは従来の歴史に対する根本的な批判を欠いたものでしかありません。本当に大事なことは、「10億人の歴史と、70億人の歴史」という問題の立て方です。そうした問題の立て方をすれば、歴史をこれまでとは異なったものとして組み立てることが出来ます。それはどういうことかということを、明日は「アメリカ史」を例にとって説明します。随分と話が飛躍する感じがしますが。
by pastandhistories | 2014-06-24 19:16 | Trackback | Comments(0)
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