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イギリス史とアメリカ史

 カウンターが壊れてしまったのかと思うほど、アクセスが急増しています。誰かがどこかで紹介してくれたのかもしれません。もっとも今は新しい本の編集にかなり時間を取られ始めていて、十分な内容のことを書ける時間はあまりありません。もし関心があるのなら、以前時間がある時に書いたものにさかのぼってもらえれば、このブログのコンセプトはわかります。
 ということなのですが、イギリス史とアメリカ史に関して時々考えることを少し。ある時期からイギリス史研究が過剰と言えるまでに日本で盛んであったのは何故かというと、大学のポストの配置に左右されている部分もあります。しかし、学問的な意味というかたちで議論すれば、それはおそらく近代以降の工業化のモデルであったということになります。戦後はこれに議会制度や福祉国家のモデルということが加わるかもしれません。しかし、意外と忘れがちなことは、近代以降の日本にとって、イギリスはなによりも帝国(主義)のモデルであったということです。歴史研究の批判性というアリバイを作りやすいのでつい忘れがちですが、日本のイギリスへの関心が、近代以降の帝国主義という問題と重なり合っていたということは本当はかなり重要なことです。近代のモデルではなく、むしろ帝国主義・覇権国家のモデル。日本が国家全体として措定していたのはそうしたことです。批判的に考えるなら、その影でイギリス史研究は「過剰に」発展したという問題がありました。
 そう考えると現在の歴史研究で、相変わらずアメリカ史研究が看過されているのは不思議なことです。歴史研究者の鈍感さを反映していると言ってよいかもしれません。というのは19世紀の覇権国家がイギリスであったように、20世紀の(そして21世紀においてもなお)覇権国家は言うまでもなくアメリカであって、そして第二次大戦以降現在にいたるまで日本が国家全体としてモデルとしているのは、イギリスではなくアメリカのほうだからです(政治改革を称した保守・革新という政治構造の解体)。グローバリズムと喧伝される問題も、もちろん覇権国家としてのアメリカを軸にしたものです(自衛隊の海外派兵)。それをさらなるモデルとして社会形成すべきだというのが、現在の日本における課題であるとされています。
 その意味ではアメリカ社会がとりわけ覇権国家になる過程を中心に検討していくことは、ある時期までイギリス史が重要なこととされた以上に、現在では重要ではと思うことがあります。有名なイギリスの歴史家が(追認して)述べたように、「あらゆる歴史は現代史」なのですから。
by pastandhistories | 2014-07-03 07:17 | Trackback | Comments(0)
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