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 きのう書いた初日のセッションについて補足すると、タイトルは A Museum is not a Book: the Historical Museums of Narrative and the setting up of the Exhibition Spaces というもの。このタイトルからも理解できるかもしれないけれど、博物館には表象内容(material sources, artifacts)が実物であるという点で、構築性のあるnarratives を伴った歴史記述に対しては、事実性においては優位にあるけど、それでは展示において物語要素はどう付け加えるべきか、あるいは加えるべきではないのか、ということが議論されました。もっとも基本的な問題だけど、結構議論が難しい問題です。 
 二日目の朝は Public History Textbook というセッションに出ました。これは内容がありました。すでに紹介したようにパブリックヒストリーの現在の中心的推進者であるトマス・コーヴィン、デイヴィド・ディーンらが発言者で、現在のパブリックヒストリーの基本的方向が説明されたからです。
 昨日紹介したこの二人の本に加えて、8月にはオックスフォード大学出版局からも論文集が出るということで、パブリックヒストリーのディシプリン化が進んでいる。しかし、パブリックヒストリーにはもともと history among the public という面があるわけで、人々の間でプラクティスされている歴史をどう考えるかという問題が、一つにはあります。この領域はカルチュラルスタディーズや、メディアスタディース、さらにはメモリースタディーズとオーヴァーラップします。もう一つは、専門的歴史研究の存在を前提としたうえで、歴史をどのように一般に提示していくかという問題、history to the public , history for the public という問題があります。こちらの問題は、歴史教育や博物館に関わります。
 もちろんこの両者には重なり合うところも少なくなく、いろいろな議論が可能です。そのあたりが続々と出される本によって明らかにされていくだろうということが、報告からはわかるところがありました。

by pastandhistories | 2017-06-08 01:43 | Trackback | Comments(0)
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