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IFPH⑧

 IFPHに関してはもう8回目の記事になるのに、あまりまとまった内容になっていなくて申し訳ないと思う所があります。出発前にも書いたように、他の原稿があってあまり準備ができなかった。来てみると日程がハードで内容も盛りだくさん。ということで、うまくまとめられません。 
 順番も前後していますが、三日目の最初に参加したのは、Visual Story Telling: Cinema, Murals and Graphic Novel というセッション。Philip Lewis(ジョージア州立大学), Muriel Laurent(ロス・アンデス大学), Thomas Hippler(ノルマンディー・カ-ン大学), Raina Zimmering(リンツ大学)の4人の若い研究者による発表。これはそれぞれが具体的な方法的問題を論じて面白く聞けました。
 ルイスの発表は映画を通して歴史がどう表象されているかということへの分析、そうした表象が実際に起きたであろうことに近似的な形態をとっている(たとえば仕草や衣装、あるいは筋書)ことを通して、過去のデテイルを見る側に伝えるという有用な役割を果たしていることを指摘しました。
 ロラン(司会者はそう発音しました)はgraphicな形で伝えられている歴史についての分析。パスカル・オリーという人の分析を借りて、それをタイムフレームが過去を用いている historical fiction と、歴史をグラフィカルに描くものであるcomic of history(言ってみれば小学館漫画日本歴史)に分け、そうしたグラフィックな歴史の機能として、過去をあるコンテクストにおいて説明していることなどをあげました。そのほかメモを見るとかなり盛りだくさんの試論的議論を展開したことになっていますが、不正確になってはいけないので、今回の紹介はこの程度にとどめておきます。
 ヒプラーは勤務はフランスの大学のようですが、もともとはドイツ出身。「ダウントンアビー」を紹介して、それがどの程度事実に沿っているのか、いないのかという話。実は暇のある同居人はこの作品をすべて見ていたのですが、自分は残念ながらほんの一部しか見ていないので、何が事実で何が事実でないのかと言われても戸惑うところがありました。というより、こうした連続ドラマ(大河ドラマもそうですが)をとりあげて、その話のどこが過去の事実に合致していて、どこが事実に合致していないかということになると、いくらでも議論ができることになってしまう。そのあたりが歴史と映画、あるいはテレビ、さらには歴史小説もそうですが、そうしたものを取り上げて論じていく際の一つの難しだということだと思います。
 最後のツィマリングの話は、メキシコでサパタがどのようなかたちで壁画をはじめとした絵画的なものをとおして象徴化されたかという話。かならずしも本人が直接そう論じたわけではないけど、民衆世界は文字的なものより図像的なものの方が有効に機能するという議論を強調しすぎるとすると、そこにはやや疑問も生じますが、着目点としては興味深い内容でした。この話は、最近はやりの emotion 論も、話に取り入れていました。
 この後はすでに紹介した博物館をめぐるセッション。午後には歴史とヴィデオゲームという興味深いセッションもあったのですが、市内観光の時間と勘違いして宿に戻ったので、残念ながら参加し損ねてしまいました。
 

by pastandhistories | 2017-06-14 11:16 | Trackback | Comments(0)
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