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パブリックヒストリーについてのメモ③

 IFPH の大会への参加を機に、パブリックヒストリーについてその現況や自分の考え方をメモ的に記したら、戸惑うほどの反響がありました。自分はこの問題は重要だと早くから考えていて、その点で国際的な学会組織化が進んだことに大きな関心を持っています。しかし、まだ国際的にも全体としてはこれから議論が整理されていく段階。あくまでもここに記すことは、現在的な段階での自分のメモです。
 すでに記したように、おそらくはパブリックヒストリーは発展するに伴って、かなりの広い内容をその中に含みこんでいくのではと思いますが、現在では IFPH の議論内容からもうかがえるように、博物館が議論の対象の一つになっています。
 ここで着目してよいことは、なぜ博物館が重視されるようになったのか、あるいは軽視されてきたのかということです。おそらく重視されるようになったことの一つの理由は、インターネットの発展によって、博物館が「定置」しているだけではなく、ネットを通してその展示内容が広く参照されるようになったためかもしれません。展示内容は、「モノ」としての具体性、直接性を持っていますから、文字的なものより、はるかにネットを通しての訴求力を持ちます。そのことが博物館への関心を高めたということが一つには言えそうです。
 逆になぜ軽視されてきたのかというと、その「定置」性から、従来は参観者数や参観時間が限定的であったからです。このことは学校教育と比較することによって論じることができます。多くの「国民」は学校を通しての「歴史教育」をとおして歴史に対するかなりの認識を得ています。そのことは歴史博物館を通しての認識と比較するとよくわかります。まず物理的に、時間の絶対的な違い。博物館に行く時間は平均すれば、1年で数時間でしょう。これに対して学校での歴史教育を受けさせられる時間は圧倒的に多い。さらには普段の試験、入試などで学校教育を通しての歴史への知識は強制されます。歴史博物館にはそのような強制力はありません。そもそも学校教育を通しての歴史は、時間の配分までが定められていますが、博物館は、どの博物館を選ぶかも、また入館後何を見るのかということも参観者の自由です。
 そうした学校教育の優位性にもかかわらず、なぜ博物館を通しての歴史という問題が次第にクローズアップされるようになったのかというと、それはパブリックヒストリー全体の問題とも関わりますが、教育を通しての歴史が次第に影響力を後退させたからだと自分は考えています。

by pastandhistories | 2017-06-21 10:41 | Trackback | Comments(0)
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