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186万部

 家人が出かけて、いま家には誰もいません。のんびり過ごしながら、ノートを見直しています。ということで滅多にないことですが、同じ日で二本目の記事となります。
 昨夜は懇親会、二次会で話が弾んで、最後にもう一軒ということになりましたが、それほど飲むメンバーでもなく、店も開いていないということで、行った先はマグドナルドの二階。もういい年齢なのに、かなりの人が200円也のソフトクリームを注文し、時間をつぶしました。
 雑談も多かったけど、その時出た話の一つが学生時代に関わること。自分は大学祭実行委員会の三役、事務局長をしたことがあって、そのことには色々なエピソードや思い出があるのですが、昨日の参加者の一人は委員長経験者であったということ。少し差をつけられてしまいました(将来彼は学長になるのかな?なるかもしれないですね)。
 その大学祭にちなんで。自分が大学祭委員の企画として立てたものの一つがゲストを呼んでの後援会。大学入学時に学生の間で最も話題となっていたことの一つが、その年の芥川賞受賞作。橋本忍脚本で映画にもなった柴田翔『されどわれらが日々』です。ということで自分が講演会を企画・提案。ちょうど柴田翔さんはドイツから帰国したばかりでしたが、電話をしたら自宅に招いてくれて、「話すのは本当に苦手」ということで最初は断られ気味でしたが、そこを何とかお願いして講演を了承してもらいました。
 大学祭当日は700人収容の大教室が超満員(当時の駒場は教室の部屋番号が大体収容人員に見合っていて、700番教室は700人、代議員大会がよく開催された600番教室は600人・・学生7人に1人が代議員なので、つねに400~500人が参加していたと思います)となりました。
 本人が話は苦手だと言っていましたが、それだけの大聴衆での講演ということで、やはり難しいところがあったとも思いますが、自分が印象に残っているのは話が、柴田さんが大学に入学したときに、教室の座席に座ったらそこに落書きがあったということから始まったことです。書かれていたのは、中原中也の「汚れちまった悲しみに」。自分はそうした「汚れちまった」という落書きのある場所に来てしまったのか、という感慨をいだいたということです。
 自分の学生時代の心象にあったことを伝えたかったのだと思いますが、『されどわれらが日々』について印象に残っていることは(今手元に本があるわけではないので、正確な記憶かはわかりませんが)、たしか主人公が本屋の棚にある本を眺めながら、やがて自分が物を書くことになれば、その本もまたこうした形で棚に並べられる、しかし、やがては本もその内容も人々から忘れられていくだろうという感想を抱くところです。
 あるいは別の作品に書かれていたことで記憶違いかもしれませんが、自分には大学院に残る頃(柴田さんは当時大学の助手だったのではと思いますが)から、つねにこうした思いがありました。おそらくは大学の地位につけば自分は通過儀礼として二つの本を出すだろう。「箱入り」の論文集と、専門領域についての通史的叙述。つまり「分析」と「物語」です。・・・しかし、そのことにはどのような意味が本当にはあるのだろうか?。・・・それは自分にとっての意味なのか、それとも読み手にとっての意味なのか。そんなことを今度の講演では話せればと思っています。
 それはともかくとして、このことともほんの少しだけ関連しますが、今回の芥川賞の又吉直樹さんの『火花』は130万部近くがすでに刷られたそうです。この記事を書くにあたって確認してみたら『されどわれらが日々』は186万部。ビートルズとAKBについて、ビートルズが50年後にも記憶にとどめられているように、AKBも50年後に記憶にとどめられているだろうかという記事を書いたことがありますが、『されどわれらが日々』と『火花』についてどんな議論がありうるのでしょうか。
by pastandhistories | 2015-10-25 18:21 | Trackback | Comments(0)

分析と物語

 『歴史を射つ』の公開合評会は無事終わりました。会場負けするのではということを心配していましたが、多くの人が参加してくれて、内容的にもそれなりの意図は果たせました。とにかく本の内容が多岐にわたっていて、量的にもかなりのものなので、細かく内容を「書評」するには時間的な制約があり、そうしたところにまで議論がいくのは難しかったのは仕方ありませんでしたが、基本的な議論・問題の提示はできたのではと思います。
 ひな壇対フロアという関係になると、どうしても議論が一方通行的になりやすいので、今回はコメンテーターと編集者が左右に分かれて対座するというかたちをとってみました。そうした工夫もあってある程度はそれぞれの考えにある差異が会場に伝えられたのではと考えています。今回で一番意外だったことの一つは、多くの参加者がすでに本を所有していたことです。書評会ですから当然と言えば当然ですが、高額な本なので事前購入は難しいと思っていたので、そのことには驚きました。逆に用意してあった本があまり売却できなかったのは残念でしたが。
 さてこれで昨年来の仕事が一段落しました。個人的には次の仕事は来月末の所属大学の学会での講演となります。すでにタイトルは決まっていて、「チャーティスト運動はどのように物語れるか」というものです。もちろんモノグラフィカルな研究には、大別すれば分析と物語的叙述という二つの方向があります。というより多くは、基本的にはこの二つを組み合わせて行われます。あえて「物語れるか」としたのは、すこしタイトルを刺激的にした方が関心を引きやすいと思ったから。実際には双方の側面からチャーティスト運動研究についての考え方を説明する予定です。大量なノートがあるので、その再読・点検に入っています。とても一か月では準備は間に合いそうもありませんが、この間重きを置いていた歴史理論についての関心をふまえて、個別的なテーマに対する研究の仕方・表象のしかたを説明する予定です。
by pastandhistories | 2015-10-25 11:47 | Trackback | Comments(0)

24日のこと

 今日はこれから3コマの授業があります。春学期は夜まで他大学出講を含めて4コマでしたが、さすがに大変なので、秋からは時間割を変更してもらいました。個人的には大きな仕事だった『歴史を射つ』関連の仕事が一段落したので、いまは本来の自分の専門であるチャーティスト運動のノートの見直しを中心に週の予定を組んでいます。また理論関係の仕事に関しては、『歴史を射つ』に対する反応を見ながら、それを参考に次の段階に入っていこうというところです。
 その『歴史を射つ』ですが、やっと書店やネット販売に現物が出揃ったようです。その進み方がやや遅く、24日の会まで間に合うか心配していたのですが、何とかなるかもしれません。逆に24日の会を合評に限定してしまうのは、考え直してみたら参加者を限定してしまうことにもなるので、本のない人にも参加できるようなかたちで、議論の流れを少し工夫してみるつもりです。基本的には合評で本の内容をたどりますが、さいわいコメンテーターをお願いした成田さんも小田中さんも幅広い立場から議論のできる人ですので、多分そうしたかたちで進行できるのではと思います。
 ということですので、あまり形式的内容は気にすることなく、多くの人に参加していただき、今後の参考にしていただければと考えています。
by pastandhistories | 2015-10-15 08:05 | Trackback | Comments(0)

『歴史を射つ』の販売状態について

 『歴史を射つ』については、なかなか入手しづらい状態になっているようで申し訳ありません。9月15日の記事は出版社に納品された現物を確認して書いたものですが、その後取次店から書店やネット販売に配本されるに際して品薄になっていたようです。幸い新しく印刷・製本された納本(増刷ではありません)が昨日あり、今日から本格配本が始まるようです。それでも書店やネット販売業者に上手に行き渡るかはわからないところがあるとのことですが、合評会は予定通り10月24日に行いますので、関心のある方は是非参加していただければと思います。
by pastandhistories | 2015-10-02 06:03 | Trackback | Comments(0)

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