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歴史についてこれまで考えてきたことを書いています


by pastandhistories

ATENER④

 約10日間で6回飛行機に乗って、便の都合で実質的には徹夜に近い状態が3回。年齢を考えると無茶苦茶なスケジュールですが、昨日の朝戻りました。夜10時に寝て、今朝は7時に起床、通常通りの生活です。というより、今回は変な日程のためだったせいか、滞在中は夜は11時ごろ寝て6時に起きるという時差ボケのない生活、今も普通の感じです。
 と思ったのですが、今違った場所をクリックしてしまったらしく、最初の記事が送信されてしまったようです。アテネの会の様子について残りの部分を書くと、前回紹介したもの以外で中心的だったのは、若手の研究者の報告、そののなかにはテーマ設定もあって非西欧的地域の研究者によるものも少なくありませんでした。順を追ってその中のいくつかのものを紹介していくと、古代のフェミニシティを扱ったもの(T.Howe, St.Olaf College), インドにおける女性教育、とくに科学教育を論じたもの(R.Chaklabourty, University of Calucatta、この人は教授なのでそこほど若くはないと思います)、中世以降の心理学の歴史の紹介(C.Bartolucci, University of Rome), やはり女性教育を論じたもの(Y,Ahmed, UAE University この人も教授です)、ユダヤ人の科学・哲学の形成をアトテレスやイスラームとの関係で論じたもの(Professor, University of Haifa ), インドのポリガミーの歴史を7世紀から13世紀にかけて論じたもの(A.Verma, NSCBM Govt. Degree College), communalism という観点からガンディーを論じ、ムスリムの分離主義への批判的な議論を紹介したもの (A.K.Bortakur, Tinskia College), 南アフリカを対象にメディアガ歴史のコメモレーションにどう影響しているのかを論じたもの(professor, North=west Universtiy, South Africa) などがありました。会の雰囲気では一部の参加者同志は知り合いらしいところがありましが、自分には初対面の人ばかりで、評価については口頭の発表だけでは即断できませんが、普段は接することのない話が多く、その意味では参考になる部分もありました。
 またこの他にも会では建築物や図像分析に関する報告も多くありました。場所柄考古学的なテーマが少なくなかったこともありますが、なんといってもパワーポイントでそうした報告がしやすいということのためです。しかし、あまり知らないものをスライドショーされても、正直言ってわかりにくい。歴史研究の大事な方向性ですが、同時にこうした研究を本当に説得的に議論することは難しいとも思うところがありました。
 自分は二日目の Historiography というセッションで発表しました。最初の発表者は入れ替わりましたが、自分は予定通り二番目、S.Miles (Ph.D. Student , Glasgow University ), R.Abadia ( Researcher, University of Lisbon )という人たちの組み合わせになりました。予定通りアムステルダムの続きを発表、ペーパーは読みきれないので、ハード化したものを配り、要旨をパワーポイントで読み上げましたが、場慣れしてきたせいか、うまくできたと思います。後をひきついだMilesが、自分の報告は前の発表者の考え方と基本的に類似するものだと受けてくれて、この点も助かりました。その Miles はツーリズムなどにも関心があり、現在では博物館での歴史の展示や歴史のheritage化の問題点をテーマにしている人物。出身はウェールズらしく、その彼は現在での歴史のコメモレーションの問題を、いくつかの事例を例に記憶の共同性の単位を示して説明しました。Abadiaもまたブラジル出身で、現在はポルトガルにいるという人物。彼女も地方博物館を例に地域的なアンデンティティの形成を話しましたが、この二人に共通していることは、自らが移動をとおして多重的なアイデンティティをもっているということ、そうした立場から地域を単位とした歴史の共同性への問題意識を持っているということです。この二人と組めたことにはよい部分がありました。
 質問は真っ先にグレバーゾン(カナダのヨーク大学)がしてくれました。彼の発言は質問というより、総括的なもの。OKAMOTOの問題提起はとても大事だ、そうしたことをもっときちんと議論していくべきだという趣旨の発言をかなりの時間を使ってしました。そのせいか自分への直接的な具体的な質問はなく、時間がなかったせいもありますが、セッションは無事終わりました。全体の会が終わってロビーに出たらそこにいたインド人の研究者が(名前は聞きませんでしたが)、the best presentation と声をかけてくれました。社交的なニュアンスもあると思いますが、やはり嬉しいところがありました。
 大会はexcursionを含めて4日間予定されていたようですが、二日目のセッションが終わるとあっという間には参加者は急減(当然のことですが)、自分はディナーには出ましたが参加者は少なく、その日の深夜にオスロへと向かうことになりました。
by pastandhistories | 2011-08-10 10:17 | Trackback | Comments(0)

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