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機械とグローバル

 急に入った二つの仕事。3万字以内という英文は草稿をほぼまず書き終えました。後は講演の準備。中国でなので日本語で通訳付きかと思ったのですが、英語でということなので1時間程度の話を準備していきます。大変と言えば大変だけど、今は日本の大学でも英語での授業が要求される時代。一週間毎に1時間半の英語授業の予習をしなければいけないわけで、似たようなことだと思えば妙に納得できるところがあります。 
 以前も書いたと思うけど、自分は英文での発表や英語論文を準備する時、現在の段階ではコンピューターは二つの使い方をします。一つは、口述発表予定原稿を読み上げソフトに入れること。発表に必要な時間がある程度予測できるので、スピードを調整したり、量を調整するのに便利です。機械音声なのでイントネなどにまだ問題があるけど、個々の単語の発音はある程度正確なので、その点でも利用しています。
 もう一つは作文の際の分量の確認です。最初に日本語で書いて機械翻訳をかけると大体の文字数がわかります。最初に文字数が決まっている仕事には便利です。もっとも翻訳の方は、実際にはまだ使用不可能でしょう。時々機械翻訳をそのままうっかり使用したとみられる企業のホームページを見かけますが、これは企業の信用を損ないます。もちろん学術論文には100%現在の段階では使用できません。
 ただ問題はこれからですね。すでに欧文同士の場合はかなり精度を高めているように、機械翻訳もまた将来は精度を増して、碁・将棋のように人間の能力を上回るでしょう。10年から20年先とは言えないかもしれないけれど、50年後、100年後には必ずそういう時代が来るはずです。そんなことはない、と言い張るのは、機械が碁・将棋で人間に勝てっこないと予測していたのと同じことです。その予測はわずか数十年という単位で、裏切られたわけです。機械は人間の天才を凌駕したわけです。言葉は普通の誰もが話せるわけですから、天才に打ち勝つ能力のある機械に、それができないはずがないからです。
 そう考えると100年後に本当のグローバルな世界が訪れることが予想されます。別に英語を話せなくても、それぞれの人がそれぞれの言語で話せば互いにコミュニケートできる。学問的世界でも言語による欧米優位のヒエラルヒーはなくなり、様々な言語で発信された知が平等に対峙しあい、そのなかで相互がより正しい真理に向けて共同しあうという時代です。そうした本当にグローバルな世界で作り出される真理は、現在の日本の学問的世界で多くの人が真理であると思い込んでいるものとは、大きく異なるものでしょう。
 今回の仕事は偶々英語ですが、何回も書いてきたように英語で書くのは、現在の現実の中で自分の書いたもののオーディアンスをほんの少し広げるためです。もし自分が中国語ができたら、今回の機会はもっと有効に利用できたはずです。
 外国語での発表を試みるのは、異なるオーディアンスを対象とすることによって、相対化するためです。オーディアンスを狭め、自己を絶対化するためではありません。英語で書くのは、ある特定の時代の狭い枠組みの中で現在的には要請されているけれど、将来的にもそうしたことが絶対に必要であるとは、機械の将来的な発展を考えれば、必ずしも断言することはできません。、

by pastandhistories | 2018-05-01 20:07 | Trackback | Comments(0)
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