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歴史を敵に回す

やっと大学は試験週間へ、しかしまだ7日に補講があるという状態です。さらに夏休み前の雑事。奨学金授与式、サークル顧問会議なるものが月・水とあります。いずれもおそらくは、「奨学金の支給に際し、使用上の注意を学生に行っているか」「とか「課外活動に関して、十分な注意を行っているか」などという点検評価に対して、「行っている」という答えの根拠づけの会議。踏絵的な内容を持つ会議と言えなくもありません。
 踏絵といえば、すっかり常識化し始めた、「尖閣問題」をめぐる画一的な議論の強制。「さかのぼり除名」をすべきだという珍妙な議論にたいして、鳩山元首相が「歴史的な事実に基づいて発言している。歴史を敵に回さない方が良い」という手紙を海江田党首に送ったという記事が、小さくではあるけど、新聞で紹介されました。
 この話で思い出したのは、以前小さな文章で紹介したことのあるアントニス・リアコス(アテネ大学)の議論。リアコスはこのブログでも何度かの機会に紹介したことがある歴史理論研究者。国際歴史学・歴史理論学会(ICHTH)の会長で、HIstorein 誌を中心的に進めている人物です。
 リアコスの議論というのは、ギリシアにおける歴史教科書を巡る問題。オスマン帝国の時代を、保守的な政治グループだけでなく、共産党を含めた左翼的なグループも、その時代は、ギリシアにとっては否定的な時代であった描くべきだとして、必ずしもそうした一面化されたかたちでその時代を理解すべきではないとする歴史研究者と対立していることを指摘したものです。歴史修正主義が右翼的な立場からだけではなく、左翼的な立場からも出される、それは左右両派ともに、ナショナルな枠組みにその根拠を置いているからであるとするものです。
 そのようなかたちで、現在の政治は、左右を問わずナショナルな枠組みに大きく左右させられています。歴史についてもそのことは同じです。しかし鳩山元首相の「歴史を敵に回さない方が良い」という主張は、主張としては、妥当なものでしょう。こうした妥当な思考が、ナショナルな枠組み思考の影響を受容しがちなパブリック・スペ-スにある歴史にどのようにして切り込むのという問題が、リアコスの議論の大きな前提となっています。
by pastandhistories | 2013-07-28 23:50 | Trackback | Comments(0)

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